君の左のポケットで~Now&Forever~

「で、どれが何?」

「? 何が?」

「おにぎりの具、全然わかんないんだけど」

「あ」


ラップにくるんできたおにぎりは、確かに全然見分けがつかない。


「そういえば、印つけるの忘れちゃった…」

「何入ってんの?」

「梅とおかかと、ツナマヨと、昆布」

「昆布食いたい」

「…当てる」

「は?」

「匂いで、当てる」


わたしはおにぎりを持ち上げて、鼻にくっつけてみた。

海苔のくるまったおにぎりからは、もちろん海苔の匂いしか、しなかった。


「ぶ。犬かお前は」

「だってー…レンに昆布…」

「何でもいいよ、食ってりゃ当たるだろ」

「食べきれる? これ、全部」

「無理」


あははと笑うレンの顔に、桜の隙間を通ってきた木漏れ日が降りて、きらきら揺れている。


キレイ。

下がる目じりが…やっぱり可愛い。

深く入る笑い皺が…大好き。


笑われても、呆れられても。