君の左のポケットで~Now&Forever~


レンと歩く砂利道。

風も陽射しも暖かで、身体中がふんわりする。


この道を50メートルくらい進むと、大きな公園に出る。

ちょろちょろと小川が流れていて、数メートル置きに小さな橋が架かっている。

わたしは砂利道を歩きながら、橋を渡って向こうに行き、その先の橋を渡ってこっちに戻りを繰り返しながら、一人できゃいきゃいとはしゃいでしまう。

レンは自転車を引いて、そんなわたしを苦笑しながら見ている。

足にぶつかった小石がポチャンと落ちて、ゆっくり川底を転がった。


砂利道の両脇には桜並木がずっと続いていて、ピンクのトンネルみたいだ。

はらはらと降りてくる花びらが、髪に、肩に、着地する。

レンの髪についた花びらをつまむと、

レンもわたしに同じことをした。


(手、つなぎたいな…)


何度もそう思うのだけど、何となく恥ずかしくて言い出せない。

勝手に握ってしまってもいいんだけど、それも何だか…あのキスの後じゃ…みえみえって感じで、イヤだった。

何もわたしが見栄を張ったところで、何の意味もないのだけれど、

だけど、やっぱり、レンからそうして欲しい。


そのほうが、嬉しい。

そのほうが、レンの気持ちが、ちょっとわかる。

少なくても、そうしたいって思ってくれてることになる。