君の左のポケットで~Now&Forever~

「ただいま」

「おかえり!」


飛びつきそうになる気持ちをぐっと抑えて、レンのところまで駆け寄る。

玄関を入ってきたレンも、春の匂いがした。

自転車で走ってきた髪は、ちょっとしっとりしていて、キレイに流れてて、格好いい。


「あれ? 弁当作ったの?」

「うん!」

「気合入ってるな…」

「入ってる。真剣に作った」

「じゃなくて、お前」

「あたしも? 入ってるよ。だって楽しみなんだもん」


ふっと笑ったレンだったけど、スカーフの大きさに、無言で目を見開いていた。