顔を上げると、目を細めたレンが、優しく笑っていた。


「許すから」


「…うん」


「許すから、チュウしようか」


「……へ?」



レンは面白そうに笑っている。



「なっ…何それ、ユウ君の真似? 酷いなあ、からかって…」



唇を尖らせて、レンをちょっと睨んだ。






その瞬間―――




レンの唇がそっと降りてきた。



少し乾いた、温かい唇。



レンの唇が離れるまで、ううん、離れても、



わたしは目を見開いたまま、動くことができなかった。




「よし。許す」




目を細めたまま、レンはやんわりとわたしを見ていた。




「あ…わわわ…な、なん……」



しどろもどろのわたしの頭を、レンの大っきな手がわしゃわしゃとかき回した。





「おいおいおいおい」


いきなり後ろから聞こえてきた声に、わたしもレンも驚いて顔を向けた。


「ちょっとさー、見せ付けないでくれる?」


いつの間に帰ってきてたんだろう。

ユウ君が唖然とした顔で立っていた。