カーテンを閉め、灯りをつける。

静けさに耐えられず、リモコンに手を伸ばし、テレビをつける。

流れてきた騒々しいCMを眺め、キッチンへ行きお湯を沸かした。


ピンクのマグカップを取り出して、コーヒーを入れる。

棚の奥を探したけれど、砂糖もミルクも切れていた。

仕方なく、沸騰したお湯をそのままカップに注ぎ、ソファへ戻る。


いつもレンが腰かけている位置に座り、まだ熱いカップをテーブルにのせた。

湯気は緩々と目線まで上がり、そして消える。

テレビは全然面白くなくて、わたしは上の空でそれを見ていた。


「そうだ」


手持ち無沙汰から、夕食の準備をすることにした。

レンはお腹をすかして帰ってくるかもしれない。

わたしはキッチンへ向かい、冷蔵庫から適当なものを取り出して、包丁を握り締めた。


わたしのレパートリーなんて、そんなにない。

包丁を握り締めたままストッカーを探すと、カレーのパックが出てきた。

カレーなら、何とか作れるかもしれない。


無心で料理をする。

レンのことをなるべく考えないように。

ユウ君の言葉を思い出さないように。


それでも時にぼんやりとしてしまった鍋の底は、

またレンにひやかされてしまうくらい、焦げてしまった。

それを見て、ため息が漏れる。


わたしは、

何をやっても上手くいかない。