わたしたちは何でもないお喋りを繰り返した。
高校生のころ、最近の講義のこと、バイトのこと、車の話、テレビの話、ちょっとエッチな話まで、
いろんな話をするレンとユウ君を、わたしは頷き、時には顔をしかめて、それでも楽しく見ていた。
男の子の話は、すっきりしてて、いい。
思ったことをバンバン言っているって感じが、気持ちいい。
少し、ストレートすぎるところもあるけれど。
少しお喋りが途切れたころ、レンはコーヒーを買いに席を立って自販機へ向かった。
その背中を見ていたユウ君は、そっちを見ながらぼそっと呟いた。
「ナナちんさ、レンのこと好きなんだろ?」
「え?」
「じゃなきゃ、一緒になんて住まないもんな」
「……うん」
「実はさ、昨日、オレ聞いてたんだよね」
「え?」
「ふたりの会話。途中で目、覚ましたんだけどさ、何だか深刻そうだったから起きるに起きれなくてさ」
へへ…と何だかすまなそうな顔をしてユウ君は小さく笑っている。
「頑張れよ、ナナちん」
「え?」
「レン、いいやつだろ? ま、いいやつすぎて、たまに色々大変みたいだけど」
「…いろいろ?」
「ま、オレはナナちんを応援するからさ。面白いし、可愛いし」
「応援…ありがと」
「何かあったら、オレに言って。すぐに飛んで行くから。あ、何だったら、オレが彼氏になってやってもいいんだけど」
にやにや笑うユウ君は、コーヒーの残りを飲み干してわたしの肩をぽんと叩いた。
「冗談でっす! でも、ホント頑張れ。というわけでオレは帰る」
「え? 帰るって」
「あとはふたりでゆっくり楽しみなさい」
「ユウ君」
「じゃね。また遊びに行くからってレンに言っといて。って、すぐ下だからいつでも行けるんだけど」
あははと笑って立ち上がったユウ君は、「じゃーね」と手を振って行ってしまった。
「…ありがと」
その背中を見送って、わたしは小さく呟いた。
(色々大変…って何だろう…)
そう、考えながら。

