君の左のポケットで~Now&Forever~


「ナナちん、顔、すごいことになってるよ」



ユウ君がけらけら笑ってわたしの顔を指差している。



「ぶ。言われてみれば」



レンもサンドイッチを持ったまま吹き出した。



「鼻の下、ココア張り付いてる」


「鼻の上、ふ菓子まみれ」



わたしの顔を見ながら、ふたりともお腹をかかえてた。



レンの唇には、海苔が張り付いたままで、笑った前歯にも海苔がくっついている。


ユウ君の唇にはポテトチップの欠片がくっついていて、


前歯にはさまった酢イカが笑うたびにぴろんと飛び出していた。



「ぷぷぷぷ! レンとユウ君だって」



わたしがふたりを指差すと、レンとユウ君はお互いの顔を見て、にっと笑ってみせて、それから大笑いをした。



「お前、海苔くっつけすぎ」


「お前、前歯にイカ、はさみすぎ」


「あははは」



吹き抜けのロビーに、わたしたちの笑い声が響いている。


ガラス張りの館内に、程よく傾いたオレンジ色の夕日が射し込んでいた。


テーブルの上のお菓子たちは、そんなわたしたちなんて知らんぷりをして、食べてもらえるのを待っているようだった。



食べ合わせなんて、どうだっていいんだ。


お喋りしながらみんなで食べるから、美味しいんだ。


わたしたちは、ロビーでしばらく笑いあっていた。



友達って、いいものなんだ…そう思いながら笑って、


女の子たちを思い出して、


お菓子の役割ってこういうものなのかもしれないなと考えて。



こうやってレンと一緒にいれて、


ま、ユウ君もたまに入れて、


一緒に過ごせる時間がずっと続けばいいのに、そう思った。