「え? え?」
唇をとがらせたユウ君の顔がどんどん近づいてくる。
怖くてぎゅっと目をつぶり、俯いて身体をそらした時に、ガツンと鈍い音がして目を開けた。
「あいでっ!!」
さっきと同じ声を上げたユウ君が、つかんでいたわたしの腕を放して後頭部をおさえている。
床を見ると、レンの携帯が転がっていた。
ユウ君の頭を直撃したらしいレンの携帯は、
開いたまま天井を向いて蛍光灯の明かりを反射している。
「ってーなぁ。何すんだよ、レン」
「この酔っ払いが」
「ふざけただけじゃんよー」
「あんまりからかうなよ」
「いいじゃん、チュウくらい」
「ダメだ」
きっぱりと言いきったレンは、ちょっと怖い顔をしてユウ君をにらんでいる。
「だってさー、彼女とかじゃないんじゃん?」
ユウ君は頭を擦りながら、転がったレンの携帯を拾い上げた。
それをテーブルの上に置いて床に座りなおすと、子供みたいな顔をしてふて腐れている。
「ナナちゃん可愛いし、オレにちょうだい」
「は?」
レンは眉間に皺を寄せている。
「付き合ってないんならいいじゃん、ね、ナナちゃん、明日から、っていうか今日からオレの部屋に住みなよ」
「え?」

