「おーい、レン! いないの? いるの?」
「あ…この声…」
レンと同じアパートに住む、ユウ君の声だった。
「おーい、おーい、レーン!」
「…どうしよう」
ユウ君は知らないヒトじゃないし、レンの友達だから全然いいんだけど…
わたしが知っているのは、わたしが白クマだったときのユウ君で、
話したことなんてもちろんないし、ユウ君だって、わたしが誰なのか、わかるはずもない。
ピンポン、ピンポン、ピンポン
「ううう…どうしよう」
ピンポン、ピンポーーン、ピピピンポーーン
「レーーーンくん、オレだよーー」
…いつもの、ユウ君だ。
だんだんチャイムを鳴らす音も声のかけかたもふざけてきた。
「レンちゃーーん」
わたしは洗濯物を抱えたまま、玄関ドアの前におそるおそる近づいた。

