窓際の席で、わたしはただじっと、外を見てる。
中庭の木々は薄っすらと緑がかっていて、
すぐそこまで春が来ていることを教えてくれる。
なんとなく白い絹を被ったような空気のなかに、ちらちらと光に揺れる埃が舞っていて、
空は昨日よりも少し穏やかで、薄く広がった雲は、夕方特有のピンクのような紫のような淡いグラデーションに色を染めている。
木々の間から時々顔を見せるスズメたちは、飛んでは戻り、戻っては鳴いてを繰り返している。
風はないみたい。
グラデーションの薄い雲を縫うように、飛行機雲が一本、まっすぐ南に伸びている。
窓から射しこむオレンジがかった光は、わたしの身体を包んで、ちょっとだけ眠気を誘う。

