「それあげるわ」
ええッ!?
「も、もらえません!」
返そうとするあたしの手を、多江さんはそっと制した。
「退院祝いよ」
「で、でも」
「それね、隆夫さんが買えばいいって言ってくれたネックレスなんだ」
「だったらなおさら…」
言った後で気付いた。
薦めたのは、隆夫さんじゃない…。
「いいのよ、もう」
多江さんの笑顔に、あたしはもう何も言えなくなった。
「お礼だと思って受け取って」
お礼…?
訝るあたしを置いて、多江さんは立ち上がった。
「ありがとう、旭さん」
あたし別にお礼を言われるようなことは何も…。
「さようなら」
多江さんは屋上から立ち去った。
あたしは黙って、多江さんの後ろ姿を見つめることしかできなかった。
「あ…」
あたしは気付いた。
多江さん、今日は一度も携帯を開かなかった…。
―――――――――――
病室に戻ると、携帯にメールが入った。
ええッ!?
「も、もらえません!」
返そうとするあたしの手を、多江さんはそっと制した。
「退院祝いよ」
「で、でも」
「それね、隆夫さんが買えばいいって言ってくれたネックレスなんだ」
「だったらなおさら…」
言った後で気付いた。
薦めたのは、隆夫さんじゃない…。
「いいのよ、もう」
多江さんの笑顔に、あたしはもう何も言えなくなった。
「お礼だと思って受け取って」
お礼…?
訝るあたしを置いて、多江さんは立ち上がった。
「ありがとう、旭さん」
あたし別にお礼を言われるようなことは何も…。
「さようなら」
多江さんは屋上から立ち去った。
あたしは黙って、多江さんの後ろ姿を見つめることしかできなかった。
「あ…」
あたしは気付いた。
多江さん、今日は一度も携帯を開かなかった…。
―――――――――――
病室に戻ると、携帯にメールが入った。


