ところが今日は違う。
その手に携帯はあるが、視線はまっすぐ。
屋上の向こう側、つまりは病院の外を見ている。
そこにあるのは何の変哲もない普通の街並み。
多江さんは、その普通の街並みをじっと眺めていた。
「多江さん」
声をかけても反応なし。
「多江さん」
2度目の呼び掛けで、ようやく振り向いた。
「旭さん」
驚いたような顔で、多江さんはあたしを見た。
その顔があたしには新鮮だった。
だって多江さんというと、ニコニコとしてる印象しかなかったから。
「いつからいたの?」
「ちょっと前からです」
答えるあたしに、初めてあった時のように、座るスペースをあけてくれる多江さん。
あたしは腰をおろした。
「今日は話があって来ました」
仰々しくならないように、早めに話を切り出す。
「あたし退院が決まったんです」
それを聞いた多江さんは笑顔になった。
「おめでとう」
そう言ってあたしの顔をのぞきこむ。
その手に携帯はあるが、視線はまっすぐ。
屋上の向こう側、つまりは病院の外を見ている。
そこにあるのは何の変哲もない普通の街並み。
多江さんは、その普通の街並みをじっと眺めていた。
「多江さん」
声をかけても反応なし。
「多江さん」
2度目の呼び掛けで、ようやく振り向いた。
「旭さん」
驚いたような顔で、多江さんはあたしを見た。
その顔があたしには新鮮だった。
だって多江さんというと、ニコニコとしてる印象しかなかったから。
「いつからいたの?」
「ちょっと前からです」
答えるあたしに、初めてあった時のように、座るスペースをあけてくれる多江さん。
あたしは腰をおろした。
「今日は話があって来ました」
仰々しくならないように、早めに話を切り出す。
「あたし退院が決まったんです」
それを聞いた多江さんは笑顔になった。
「おめでとう」
そう言ってあたしの顔をのぞきこむ。


