和夫さんの視線が、いつの間にかあたしから外れていた。
「だから僕はある日、決意した。僕が兄になってやると」
「お兄さんに…?」
「きっかけは、遺品の中から兄の携帯を見つけたことだった」
携帯の中を見た和夫さんは、多江さんと隆夫さんが頻繁にメールをしていたことを知った。
「事故があった日も、兄は携帯を持っていたはずなんだ。でも無傷で戻ってきた」
そのことに和夫さんは運命的なものを感じたという。
「兄の携帯で多江さんにメールを打ったのは、何気なくだった」
和夫さんはそう語ったがあたしは嘘だと思った。
何がしかの算段はあったはず。
でも追求はしなかった。
「打ったのは空メールだった。言葉が浮かばなくてね」
ここは本当だと思った。
「でも、多江さんからは、すぐにメールが返ってきた」
『隆夫さんなの?』
どうやら多江さんは疑いもしなかったらしい。
「その瞬間、僕は兄になることを決意した」
「だから僕はある日、決意した。僕が兄になってやると」
「お兄さんに…?」
「きっかけは、遺品の中から兄の携帯を見つけたことだった」
携帯の中を見た和夫さんは、多江さんと隆夫さんが頻繁にメールをしていたことを知った。
「事故があった日も、兄は携帯を持っていたはずなんだ。でも無傷で戻ってきた」
そのことに和夫さんは運命的なものを感じたという。
「兄の携帯で多江さんにメールを打ったのは、何気なくだった」
和夫さんはそう語ったがあたしは嘘だと思った。
何がしかの算段はあったはず。
でも追求はしなかった。
「打ったのは空メールだった。言葉が浮かばなくてね」
ここは本当だと思った。
「でも、多江さんからは、すぐにメールが返ってきた」
『隆夫さんなの?』
どうやら多江さんは疑いもしなかったらしい。
「その瞬間、僕は兄になることを決意した」


