「これがさっき届いたメールです」

達郎兄ちゃんは携帯をのぞきこんだ。

あたしも便乗して首を伸ばす。

『気に入ったのならそれにすればいい。買ったら写メ取ってみせてくれ』

そう書いてあった。

「私が雑誌で見たアクセサリーを買おうかどうか迷ってる、ってメールしたんです」

「そうしたらこのメールが返ってきたと」

「そうです」

「字が違ってますね」

達郎兄ちゃんは言った。

確かに。

『写メ撮って』が『写メ取って』になってる。

「たまにあるんです」

多江さんは笑った。

「駄目ですね、変換機能に頼ると」

そう言えば初対面の時も、同じ事で笑ってた。

「雪村さんは確か、漢検一級でしたよね」

「はい」

なぬ、漢検一級!?

それってスゴくない!?

「だから漢字の間違いって気になるんですよね」

そう言いながらも、多江さんは楽しそうだった。

「それにしても、よく覚えてらっしゃいましたね、月見先輩」