にらむあたしを無視して達郎兄ちゃんは言った。

「なんでしょう」

「隆夫さんからのメールを見せて頂けますか」

『え?』

多江さんの声に、あたしのそれも重なった。

達郎兄ちゃんは間髪を入れず言葉を続けた。

「天国から送られてくるメール、非常に興味があります」

なるほどな。

あたしは胸の内でうなずいた。

達郎兄ちゃんが多江さんに会いたがったのは、知人かもという思いだけではなかったのだ。

亡くなった隆夫さんから送られてくるというメールに、興味があったからだ。

でも恋人からのメールなんて、見せてくれるんだろうか?

「別に変わったものではないですよ」

そう言いながら、多江さんは携帯を開いた。

わ、見せてくれるんだ。

やましい内容のメールなんて、全くないからだろうけど、にしてもなぁ。

あたしなんか湯月くんとのメールの内容見られるの絶対に嫌だけど。

い、いや別に湯月くんとやましいメールなんかしてないけど!