「そうだ」
「でも実際に多江さんは入院してるんだよ」
あたしの言葉に、達郎兄ちゃんは唇を尖らせた。
「多江さんはイェマント氏病かもな」
「イェマント氏病?」
「70年代に、ドイツである症例が確認された」
患者は50代の女性。
医者に向かって彼女はこう語った。
『夫がテレビの前からどいてくれないんです。おかげでテレビが見られません』
医者はこう答えた。
『御主人にどいてと頼めばいいじゃないですか』
女性は首を振った。
『それは無理です』
『なぜですか』
『だって夫は2年前に亡くなっているんです』
ジョークではない。
本当にあった症例だそうだ。
「女性は夫が死んでいることを、はっきり認識していた。にも関わらず、夫の姿が見えていた」
「そういう症状が出ることをイェマント氏病っていうの?」
「正確に言うと神経発達物質が脳内で減少、それに対する代謝作用が引き起こす幻覚が見える事をいう」
「でも実際に多江さんは入院してるんだよ」
あたしの言葉に、達郎兄ちゃんは唇を尖らせた。
「多江さんはイェマント氏病かもな」
「イェマント氏病?」
「70年代に、ドイツである症例が確認された」
患者は50代の女性。
医者に向かって彼女はこう語った。
『夫がテレビの前からどいてくれないんです。おかげでテレビが見られません』
医者はこう答えた。
『御主人にどいてと頼めばいいじゃないですか』
女性は首を振った。
『それは無理です』
『なぜですか』
『だって夫は2年前に亡くなっているんです』
ジョークではない。
本当にあった症例だそうだ。
「女性は夫が死んでいることを、はっきり認識していた。にも関わらず、夫の姿が見えていた」
「そういう症状が出ることをイェマント氏病っていうの?」
「正確に言うと神経発達物質が脳内で減少、それに対する代謝作用が引き起こす幻覚が見える事をいう」