「ねぇ大丈夫!?ケガはない!!?」

どこか乙女な口調の湯月くんに大丈夫と答える。

同時に腕の中でモゾモゾと動く感触がした。

あたしは子猫の事を思い出した。

「お前は大丈夫?」

抱えあげると、子猫は一声「にゃあ」と鳴いた。

あたしが地面に放すと、子猫はもう一度だけ「にゃあ」と鳴いて、どこかへと走り去っていった。

「気をつけるんだよ~」

あたしは子猫の後ろ姿を見送った。

「立てる?旭さん」

湯月くんが手を伸ばしてくれた。

あたしはその手を掴んで立ち上がろうとする。

ピキッ

「いたたたた!」

途端に右足首に激痛が走った。

「あ、旭さん!?」

湯月くんはあたしの手を掴んだまま、オロオロとうろたえる。

「痛い痛い!湯月くん、手を振り回さないで!」

あたしは右足首を見た。

視界にあったのは、あり得ない方向に曲がった右足首…ではなかったが、痛いもんは痛い。

「ごめん湯月くん、救急車を呼んでくれる?」