あたしは、多江さんの言ってる意味がよくわからなかった。

「その代わり、彼はよくメールをくれるの」

多江さんは再び、携帯を掲げた。

「病気の私に頑張れと言ってくれたり、楽しい話をしてくれたり…」

多江さんの言葉と笑顔を受けとめていいものかどうか、あたしは迷った。

死んだ人間がメールをしてくるはずがない。

でも、多江さんは確かにそう言っている。

多江さんはあたしをからかっているのだろうか?

いや、そうではない。

高森さんが言っていた、変なことって、もしかして…。

ぐるぐるとあたしの頭が混乱してきたその時、屋上のドアが開いた。

「ここにいたの、多江」

「あ…」

「あら…」

あたしと婦長さんの目が合った。

「雅美さん」

多江さんは婦長さんにそう呼び掛けた。

「多江、あなた昼食もとらないで何してたの」

婦長さんはちらりと、ばつの悪そうな表情であたしを見てから、多江さんにそう言った。