思わず前のめりになったあたしの脇から、何かがポトリと落ちた。
「あ」
「あら?」
最初があたしで、その次が高森さん。
互いの視線の先にはシーツの上を転がる体温計。
しばらく間があいた後、あたしと高森さんはほぼ同時にふき出した。
「旭さんて面白い子なのね」
高森さんは体温計を拾いあげた。
「高森さんだって」
あたしは体温計を受け取った。
「あたし看護婦さんって、もっと粛々と仕事するのかと思ってました」
「婦長さんには内緒よ」
高森さんは人さし指を口にあてた。
「患者さんとこんな話してたのがバレたら、大目玉だわ」
「厳しい人なんですか」
高森さんはうなずいた。
「人の命に関わる仕事だから当たり前なんだけどね」
「あ、でも…」
あたしは昨日の婦長さんと藤上先生のやり取りを思い出した。
「藤上先生とは和気あいあいって感じでしたよ」
高森さんの言うように、厳しい人には見えなかった。
「あ」
「あら?」
最初があたしで、その次が高森さん。
互いの視線の先にはシーツの上を転がる体温計。
しばらく間があいた後、あたしと高森さんはほぼ同時にふき出した。
「旭さんて面白い子なのね」
高森さんは体温計を拾いあげた。
「高森さんだって」
あたしは体温計を受け取った。
「あたし看護婦さんって、もっと粛々と仕事するのかと思ってました」
「婦長さんには内緒よ」
高森さんは人さし指を口にあてた。
「患者さんとこんな話してたのがバレたら、大目玉だわ」
「厳しい人なんですか」
高森さんはうなずいた。
「人の命に関わる仕事だから当たり前なんだけどね」
「あ、でも…」
あたしは昨日の婦長さんと藤上先生のやり取りを思い出した。
「藤上先生とは和気あいあいって感じでしたよ」
高森さんの言うように、厳しい人には見えなかった。