「高森さん、貴女は婦長さんと一緒だったそうですね」

「は、はい!」

達郎兄ちゃんに正面から見すえられ、高森さんは変てこな声を出した。

達郎兄ちゃんは特に気にした風もなく、言葉を続ける。

「婦長さんが多江さんを見つけた時の状況を、詳しく話して頂けますか」

「は、はい…」

高森さんは一度深呼吸してから口を開いた。

「病院の外を捜索することになって、私と婦長さんは病院の周囲をぐるりと回りました」

だが多江さんの姿はなく、婦長さんも高森さんも次第に焦りを覚えるようになった。

その時である。

『多江!』

婦長さんの叫ぶ声が聞こえ、そちらを振り向くと、婦長さんが屋上を見上げていた。

「婦長さんは確かに『多江』と言ったんですね」

「はい」

達郎兄ちゃんの問いかけに、高森さんはうなずいた。

「…昨夜は天気よかったですか」

「は? は、はい」