「途中で藤上先生と別行動をとったと、聞きましたが」

「はい」

「藤上先生と別れた後の行動を、具体的に教えて頂けますか」

「はい。先生と別れた後、私は下の階から順に、大部屋をまわりました」

「それは鈴木さん自らの判断で?」

「いえ、藤上先生の指示です」

達郎兄ちゃんの唇が尖った。

「鈴木さんが大部屋をまわっていた間、藤上先生はどうされてたかわかりますか」

「上から順に、個室を見てまわっていたと思います」

「それは確かですか」

「ええ。先生は上から見てくるとおっしゃってましたから」

「カホ」

達郎兄ちゃんがあたしを見たが、あたしは首を振った。

あたし自身は藤上先生には会ってない。

達郎兄ちゃんはもう一度鈴木さんに訊いたが、先生がそうおっしゃっていたから、そう思うしかないという返事が返ってくるだけだった。

「わかりました」

達郎兄ちゃんはうなずくと、今度は高森さんの方を向いた。