だが婦長さんは、再び達郎兄ちゃんへと視線を戻した。
「確かにイェマント氏病は症例が少なく、治療法は確立されていません」
ですが、と婦長さんは言葉を続けた。
「多江は、自分がイェマント氏病だという自覚はなかったはずなのです」
多江さんに対しては、病名は伏せられていたという。
あくまでも心労による体調不良という名目で、入院させてたそうだ。
「それに多江は自分の病気のことを知ろうとはしませんでした。また知ろうとしても、できなかったと思います」
確かに。
イェマント氏病なんて、ガンみたいに普通の人が知ってる病気じゃないもんなぁ。
達郎兄ちゃんはイェマント氏病のこと知ってたけど、この人は特別だし。
「どうした」
じっと見ていたら達郎兄ちゃんに訊かれ、あたしはあわてて首を振った。
「ですから、多江が病気を悲観して自殺したとは考えにくいのです」
婦長さんの言葉に対し、達郎兄ちゃんは唇を尖らせた。
「確かにイェマント氏病は症例が少なく、治療法は確立されていません」
ですが、と婦長さんは言葉を続けた。
「多江は、自分がイェマント氏病だという自覚はなかったはずなのです」
多江さんに対しては、病名は伏せられていたという。
あくまでも心労による体調不良という名目で、入院させてたそうだ。
「それに多江は自分の病気のことを知ろうとはしませんでした。また知ろうとしても、できなかったと思います」
確かに。
イェマント氏病なんて、ガンみたいに普通の人が知ってる病気じゃないもんなぁ。
達郎兄ちゃんはイェマント氏病のこと知ってたけど、この人は特別だし。
「どうした」
じっと見ていたら達郎兄ちゃんに訊かれ、あたしはあわてて首を振った。
「ですから、多江が病気を悲観して自殺したとは考えにくいのです」
婦長さんの言葉に対し、達郎兄ちゃんは唇を尖らせた。


