それはあたしも同じだ。

「昨日は病院(ここ)に来なかったが、多江さんに何か変わったことはなかったか」

達郎兄ちゃんの問いに、あたしは大きくうなずいた。

「あのね…」

昨日の屋上でのやり取りを話す。

達郎兄ちゃんにも伝わるように、できるだけ事細かに伝えた。

「『ありがとう』と『さようなら』か…」

達郎兄ちゃんは唇を尖らせた。

「気になったのって、そこなの?」

あたしは多江さんのキャラの変化がひっかかってるんだけど。

「カホは多江さんの人格が変わったと言いたいわけか?」

「はっきりとは言えないけどさ、感じはいつもと違ってた」

「オレは多江さんとは親しかったわけじゃないから、カホの話だけでは何とも言えないな」

多江さん、最初は達郎兄ちゃんのことわすれてたもんね。

「いずれにせよ、そこからは多江さんの死の謎は解けないな」

「うん…」

しばしの沈黙が流れる。

その後、口を開いたのは達郎兄ちゃんだった。