触れただけのキス。 でも、私の思考回路を停止させる威力があって。 身体は硬直して指一本すら動かせない。 山口君を見上げたまま固まる私と、そんな私を見つめる山口君。 「分かったよ、もういい。……二度と来ないから、じゃあな、雅!」 捨て台詞を吐いて、彼は私達の横を通り過ぎて行った。 それからどれくらいの時間、固まったままだったのか。 もしかしたら、ほんの数秒かもしれないけど。 沈黙を破ったのは山口君だった。 「……怒ってますか?」 申し訳なさそうな表情を浮かべていた。