――え。 ドキッと心臓が跳ね上がり、一瞬で鼓動が早くなる。 でも、そんな動揺は悟られないように、冷静を装い言葉を落とす。 「――山口君?何?」 自分の口から出た言葉に、上司とはいえ可愛くないな私。なんて考えが頭に浮かぶ。 いやいや、今の撤回! 可愛い必要なんて無いから! 山口君の行動ひとつで、こんなにペースを乱されるなんて。 しっかりしなくちゃ。 相変わらず私の手をおさえたままの山口君は、ふっと力を抜く様に微笑み 「大丈夫です、店も予約済です。」 なんとも色っぽい表情でそう囁いた。