「でも先輩。その傷、どうしたんですか?」 「ん? あぁ、これか。親父に殴られたんだよ」 えぇ!? お父さんに殴られた!? 「受験生のくせに毎日歌ばかり歌ってないで勉強しないか!って」 「厳しいお父さんですね……」 「まあ。仕方ねぇーよ」 仕方ない……か。 風で暴れる髪を手で押さえた。彼の金髪は自由に流されている。 今日は先輩とたくさん近づけた気がする。 気のせいかな。