その日の夜、
あたしはあのベンチの所に向かった。
そのベンチには彼の姿があった。
彼の前を通って、昨日は彼が座っていた場所にあたしが座った。
「もう死にたくなったのか?」
あたしを見ずに、ギターに目を向けながら先輩は言った。
「そんなわけないじゃないですか。それとも、死にたくなかったらここに来ちゃいけないんですか?」
「………なにキレてんの」
「別に」
普通だ。今の先輩は普通だ。
じゃあ何で今朝は無視したんだろう。
先輩は学校じゃあたしに関わって欲しくないのかな。なんて考えちゃって。
ちょっと悲しくなった。
友達になれたと思ったのに。
先輩はあたしを
友達だとは思ってないのかな。



