アルバム、ボール、手紙。
他にも、あっくんとの思い出の品は全部捨てた。
けれど、これだけはどうしても捨てられなかった。
……ネックレス。
「もう少しだけ……」
もう少しだけ、あたしを支えてて欲しい。
他の誰かを愛せる、その時まで。
ダメ、かな……
ネックレスをケースから取り出して、首につける。
これは、お守り。
「あ…朝だ……」
窓から朝日が、
まるで光明のように差し込む。
眩しい。
あっくんと彼と彼女のような光だ。
まぶたの世界と正反対な世界。
これからあたしが生きていく、夢も何も知らない残酷な世界。
そんな世界のはじまりは
最高に、美しかった。



