写真を写真たてから取り出すと、あたしはそれをビリビリに縦横に引き裂いた。
苦しいけど、
辛いけど、
胸が痛いけど、
本音を言えば、本当はまだ大好きで忘れたくなんかないけど。
あたしは〝笑って〟生きていたいから。
「これで、いい」
窓を開けて、4つに分かれた写真が収まっている右手を突き出した。
ゆっくり手のひらをほどいて行くと花が舞い散るように、写真達が春風に乗って夜空に消えた。
……こうやって、少しずつ忘れて行けば、本当にいつか笑えるようになるんだろうな。
不意に目に入った半月。
この前は三日月だったのに。
本当、あたしの心みたい。



