先輩と別れて自室に戻ったあたしはベッドにボフッと座った。
机の上の写真に目をやると手に取って眺める。
―――今でも。目を閉じればそこに笑顔のあっくんが居る。
でもあたしは目を開けて、現実(いま)を見なければいけない。
いつまでも目を伏せて現実から目を背けてちゃいけないんだ。
まぶたの世界から卒業しなきゃ。
だから、
「あっくん……バイバイ……」
あたしは、もう。
あっくんを追いかけない。
……さよならだよ。
だって本当は、とっくに、あたしがあっくんを追い越してしまっているんだ。
あっくんの時は、
止まってしまっているのだから。
写真を顔にそっと近づけて、優しく最後のくちづけを交わした。
最初で、最後の……
愛しい貴方とのキス…―――。



