「人がせっかく親切にしてやってんのに……受けとれよ、バーカ」
その無表情で馬鹿って言われると、なんだか怖いんですが。
それにあたし、緑茶苦手なんだよね。
「じゃ」
手をブレザーのポケットに突っ込むと加藤光は去って行った。
手に握られている緑茶を見つめる。
……優しい、のかな。
本当は、ちょっぴり嬉しかった。
本当は、もらった時少しドキッとした。
……ううん。話しかけられた時も本当はドキッとしてた。
そして今も、
胸は忙(せわ)しく動いている。
あの顔でこんな事されたら誰だってドキッとするよね。
……罪な男。



