その日の夜、あたしは夢を見た。


九回の裏、ツーアウト満塁。
一打、逆転のチャンス。


打席に立つのは、もちろんあっくんで。


あたしは瞬きもしないで祈るように、あっくんを見つめていた。


ボール、ボール、
ストライク、ボール、ストライク。


……ツーストライク、スリーボール。


追い詰められてからの一球。


あっくんは綺麗なアーチを描いて、全てのベースを踏んだ。


ホームベースを踏んだ瞬間にあたしを見て、拳を空に掲げたあっくんは最高に……


―――…笑ってた。


幸せで。幸せで。幸せで。


それは、それは

とてつもなく、残酷な夢だった。