階段も廊下も風のように駆けて行く。
先輩。先輩。先輩。
好きです。
好きなんです。
「結衣ちゃん!」
「っ宝先輩……」
ザワザワした玄関前。
爽やかな黒髪をなびかせている彼なら先輩の居場所を知っているかもしれない。
「光を探してるんだよね?」
「…はい」
「光からの伝言。〝出逢った場所で待ってる〟そう結衣に伝えてくれって」
出逢った場所。
それは先輩がいつも歌っていた場所。
…ベンチの所だ。
「ありがとうございました!」
「うん。頑張ってね」
「はいっ」
ペコリと頭を下げて、
先輩の待つあの場所へ急ぐ。



