◇ それから4ヶ月後。 季節は巡り巡って春になった。 「…卒業生代表、吉野宝」 宝先輩の卒業生代表の言葉が終わって、拍手と数人のすすり泣く声が体育会に響く。 今日は卒業式。 「続きまして校歌斉唱」 教務主任の司会に続いてピアノの音。 このピアノを弾くのは先輩だ。 先輩…… 『え…ダメだった…?』 『ああ、選ばれなかった』 『そんな……』 『まあ、そんな甘くねーよ』 先輩はそう笑ったけど、あたしは笑えなかった。 本当に残念だったから。