僕らの瞳にうつる世界。



一歩、また一歩と少しずつ無くなる距離。


…離れてしまった心の距離も近づけばいい。



「あたし、先輩を許します」


「なに言って……」


「許します」



ハッキリ言い切ると先輩は言葉を引っ込めた。



「だってあっくんが死んだのは先輩のせいじゃないもの。…先輩のせいなんかじゃ、絶対ない」



違う。

先輩があっくんを殺したんじゃない。



「だから背負ってる荷物全部捨てて、楽になってください」


「結衣……」



伝えたいことが上手く伝えられない。


ただ、先輩に悪いところなんて無いのに。

まったく悪いところなんて無い。