明日香の微笑んだ優しい顔。
半年前よりも凛と逞しくなった気がした。
…そう、季節はもう冬になろうとしている。
――その時。
「結衣ちゃん!お願いがあるんだけどっ」
焦ったように駆け寄って来たのは宝先輩。
…次会う時は気まずいんだろうなって思っていたけど、予想は外れた。
1年生の教室に堂々と入って来るところは、さすが宝先輩だ。
「お願い…ですか?」
「ああ。光のことなんだけど」
先輩のこと……?
不安そうな顔をした宝先輩を見て、あたしの心も曇って行く。
「あいつ最終審査には行かないって言い出したんだ」
「えっ」



