僕らの瞳にうつる世界。



そんなことをひたすら考えて歩いていた時だった。



――♪~



アコースティックギターの綺麗な音が、静かな病院の庭園に美しく響いた。


それはあの日、あたしが死のうとして聴こえて来た音色にあまりにそっくりで…。


あわてて音のした方へ急ぐ。


ベンチに座っている姿。

それはまるであの時のデジャブ。



「…せんぱ…っ」



先輩が、先輩が、ギターを弾いている。


思わず口を両手で押さえる。



――…先輩の記憶が戻った?



《……〝生きてさえいればいつか笑える〟そう誰かが教えてくれた

だから、踏み出す勇気を、辛い夜を越える強さを僕にください》



この歌…!

あの時歌ってたやつ!


歌ってと頼んでも歌ってくれなかった、先輩の作りかけの曲。