泣き止んだあたしを指差し、無邪気に笑う彼があたしは好き。
だけど、
先輩への気持ちとは全然違うんだ。
「ごめんなさい、あたし――」
「謝らないでって言ったよね。…大丈夫。ちゃんと分かってるから、結衣ちゃんの気持ち」
彼はあたしとの距離をつくった。
「あいつのせいで泣くのもイヤだけど、俺のせいで泣くのは、もっとヤだから」
そっと微笑んでくれたのは彼の優しさ。
あたしに罪悪感を持たせないため。
宝先輩……
風が、吹く。落ち葉は転がってく。
「宝先輩、ありがとう」
「いーえっ。こちらこそアリガト」
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