僕らの瞳にうつる世界。



「…して…ちゃった…すか?」


「あ?」



あたしの言葉が聞こえてない様子。


いつの間にか力が入っていた手はスカートを握り締めていた。



「どうして忘れちゃったんですか!?」



あんなに必死で
お父さんと将来までかけて
叶えようとしたような


大きな夢なのに。



「ねぇ、どうして忘れちゃったの!?早く思い出してよ!早く…っ」


「ちょっ、結衣ちゃん…!落ち着いて…!」



彼の胸ぐらを掴みながら発狂するあたしを、その時丁度お見舞いに来た宝先輩が抱き締めるようにして止める。


離して…っ

思い出してほしい。


あんなにかけがえのない物に出逢えることなんて、そんなにないのに。