このオーディションって……



「最終審査で選ばれたらデビュー出来るんだ」


「すごいじゃないですか!」


「全国区のオーディションだから確率は低いけど……」



でも確率は0じゃない。
ですよね?



「そのオーディションに受かったら親父は俺に何も言わないって約束してくれた。けど、そのオーディションに落ちたら……」


「落ちたら?」


「夢をキッパリ諦めて、親父の会社を継ぐ」



真っ直ぐ強い言葉で言い切った先輩は、何か覚悟を決めているかのような、そんな顔をしていた。


……本気なんだ。

先輩は、このオーディションに自分の夢と人生を賭けてるんだ。