生徒達に静かにしろと先生達がうながしている中、あたしはひとつの目線に気が付いた。 ……先輩があたしを見て、何か言ってる。 え?なに? 『ば、か』 馬鹿?…って、馬鹿!? 今、口パクで馬鹿って言った? 顔を大袈裟にしかめて見せると先輩はおかしそうに笑った。 あたしはその笑顔を見て笑った。 ――…先輩、好きです。 そう声にならない声で呟きながら。