「まぁ、もちろん最初は地球外生命体…“マゼル”っつうやつとか、そんなもん信じてなかったけどな。」
「でも…。なんで引き受けたんだ?…マゼルが本当にいるかどうかもわからないのに。しかも、最初に集まった時、お前はこの仕事を一方的に嫌がっていただろ?」
俺は一番気になっていたことを聞いてみた。
すると、野宮は『うーん…』と少し困りながらも答えてくれた。
「金だな。やっぱどう考えてもこの仕事やる理由は金にしか行き着かねぇ。」
「…そうか。」
「最初この仕事を一方的に嫌がったのは報酬の話を何も聞いていなかったからだ。俺が批判した後、洸八から聞いた。」
『洸八…?確か野宮のパートナーだったな。』
「まぁ、マゼルが本当に存在するかどうかはそのうちお前自身で確認できるから安心しろ。」
野宮はそう言うと席を立ち、あくびをしながら個室に向かおうとした。
「おい!どういう意味だ!?」
俺は個室のドアに手をかける野宮を引き止めた。
彼は顔だけこちらに向け、ゆっくり答えた。
「だーかーら、そのうち分かるって。」
パタン―――
野宮は個室へと入っていった。