私の目の前で、笑って自らの命を絶ったあの子のようには強くなれなかった。
あの頃背負った過去が、言葉が、一つでも欠けていたら。
今の私はもっと違う別の私だったかもしれない。
想像するのが少しだけ怖い。
今の自分が消えてしまうような気がして。
記憶も想いも、抱えていたいから。
結局私は、喉元に当てた包丁を手放してしまった。
「所詮私は、怖いだけなんだよ」
それも、貪欲な想いで。
「異常に、怖がりなだけなの」
戦ってもなければ逃げてすらいなくて。
迷子のまま、うずくまっている。
「怖いんだ」
そうして今は、
死にそうになっている。
身近な死に触れて、奥底の何かが
父親が死んで、
その『死』に憧れている。
―死にたがっている。
怖がっているものに誘われて。
惹かれて。
死にかけている。
嗚呼、
水貴の言った通り。
生きたがりの死にたがり。
「俺さー」
電気もついていない部屋に、水貴の声が響く。
あの頃背負った過去が、言葉が、一つでも欠けていたら。
今の私はもっと違う別の私だったかもしれない。
想像するのが少しだけ怖い。
今の自分が消えてしまうような気がして。
記憶も想いも、抱えていたいから。
結局私は、喉元に当てた包丁を手放してしまった。
「所詮私は、怖いだけなんだよ」
それも、貪欲な想いで。
「異常に、怖がりなだけなの」
戦ってもなければ逃げてすらいなくて。
迷子のまま、うずくまっている。
「怖いんだ」
そうして今は、
死にそうになっている。
身近な死に触れて、奥底の何かが
父親が死んで、
その『死』に憧れている。
―死にたがっている。
怖がっているものに誘われて。
惹かれて。
死にかけている。
嗚呼、
水貴の言った通り。
生きたがりの死にたがり。
「俺さー」
電気もついていない部屋に、水貴の声が響く。



