重なる平行線

「死にそうっつーか、死にたそうだ。いつもより一段と」

「……まさかまさか。まっかぁさー。何で私がそんな顔する必要があるんだってばよー」

おどけて言ってみたけど顔も上手く笑えているか自身はない。
「…それに、私いつも死にたそうな顔してるの?」


「さぁ?どうだかなー」
笑ってはぐらかされる。
微かに苛立ちがささくれた。
「なんだそれ」

「お前はさー」

背中が僅かに動き、水貴の体温が押し付けられる。

「…生きたがりの死にたがりなんだよ」

「………………」
その言葉が耳に届いた瞬間、理解するより先に手がピクリと反応した。

「生きたがっている様に人にも自分にも見せかけて、本当は一番、死に執着している。
生きることによって、死に焦がれている」

「…………」

「お前にとって、生きるのは死への過程でしかない。道でしかない。そうとしか捉えられない。」

「………」

「死ぬことに恋している」

「…………そんなの、…誰だってそうかもしれないじゃない。人は何処かで死への憧れを持っているよ」

「まぁな。それが普通かもしれない。
けどな、お前のは異常なんだよ」

「…異常」

「人は確かに、一度は死を想う。辛いことがあった時。生きるのが苦になった時。
死にたいと、一度も思わないような奴は稀だろうな。

…お前はさ、少し違うんだよ。

人は死に焦がれても、結局は生にしがみつく。拘ってんだよ最初から。
美月には『結局』は無いんだよ。
お前はずっと、死を想っている。美月。

―美月。

何で、お前は死なないんだ?……美月。」