LOST MUSIC〜消えない残像〜



小さく踏み出す細い足。

ふわりと揺れる長い栗色の髪。

大きな瞳にふっくらとした唇。


「星羅……?」


俺は夢に迷い込んだのか――。


いるはずのない星羅が何で鮮明に見えるんだ――?


「あ、奏斗先輩ここにいたんですね」


あぁ、なんだ……。


そうだよな、今前にいるのは錫代だ。


「千秋先輩に場所聞いたんです。奏斗先輩に会いたくて」


錫代は目を細めて、心から嬉しそうに微笑みかけてくる。


何でこいつはいつも笑えるんだろうって毎回思う。


「なぁ、何でそこまで俺にこだわるんだよ?いつも冷たくあしらう俺に」