LOST MUSIC〜消えない残像〜



どうしようもなく胸が苦しくて、現実から目を背けるようにケータイを置いて席を立つ。


そして、逃げるように向かったのは、星に関する本のコーナー。


――中でもこの図鑑は星羅のお気に入り。


濃紺に白く煌めく星々の写真を見ながら、瞳を星と同じくらいキラキラさせて楽しそうに説明するんだ。


音楽馬鹿だった俺には全然頭に入らなかったけど、今なら思う……。


――ちゃんと、……聞いておけばよかったって――。


今頃気付くなんて、俺は馬鹿すぎるよな……。


――その時、静かに戸が開いた。