LOST MUSIC〜消えない残像〜



俺は星羅の指定席の向かい合わせに座る。


読書に熱中したり、ノートを開いては小説のプロットを書いてたな。


そんな時は、授業に行こうって言っても、駄々をこねて聞かなかったっけ。


瞼の裏によみがえる光景に、つい笑みがこぼれ、同時に苦しくなる……。


俺はふと、ポケットからケータイを取り出した。


指は頭よりも何をしたいのか分かっているようで、Bookmarkに一件だけ入っているサイトにアクセスする。


画面に表示されたのは、ケータイ小説のとあるプロフィールページで、ハンドルネームは“Vega”と記されていた。


ここが、星羅の書いていたケータイ小説のページだ――。