足を踏み入れれば、そこは“本の森”。 印刷された本の独特な香りと、少しの埃っぽさ。 ここは、ここだけは、時間が止まったように、あの頃と変わらないでいてくれる。 星羅が好きだった場所の一つ、“本の森”と呼んでいた場所――。 窓から差し込む暖かなひだまり。 数々の本という木々は照らされ、星羅がいつも使っていた椅子とテーブルを輝かせる。 今なら幻でも見えそうだ――。 あの日々が思い起こされるように、 あの日々の星羅が今、目の前にいるように……。