すると、錫代が気を遣い遠慮がちに口を開いた。


「あ、あの……、奏斗先輩は私が無理言って来てもらったんです。ギター、どうしても教えてほしくて」


自分のためでもあるまいし、声を震わせ説明する錫代を理解できない……。


俺が言われただけじゃんか……。


「ふん、どうだかな」


ほら、雅臣は鼻で笑い捨てて、理解する気なんかないんだ。


雅臣は強いから弱いものの気持ちなんて分からない。


今だって、千秋がどんな辛い顔して雅臣を見てるか知らないだろうからな……。