毎日毎日、こんな俺に必死になるなんて、馬鹿すぎる――。 無理矢理心の中で嘲笑う。 そうやって自分の心に思い込ませ、錫代に重なる星羅の影をかき消しながら、淡々と靴を履き換えて校舎から出た。 星羅と重ねちゃ駄目だ……。 「ちょっ、ま、待ってください!」 これは星羅の声じゃない……。 これは星羅ではないんだと、自らに暗示をかけるように周りの音をシャットアウトしようとした。 ――でも、俺にはできないらしい――。 「きゃっ!!」 ほら、やっぱり俺にはできない――。